イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドってどうなの?
という人向けの記事です。
「カーボンニュートラル(carbon neutral)」を直訳すると、「炭素中立」という意味。ちょいとひねって、環境の分野で「脱炭素」の意味で使われています。
余談ですが、菅(すが)前総理が「2050年カーボンニュートラル宣言」、温室効果ガスの排出を2050年までにゼロにすると宣言していますね~!
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドは、いかにも環境に優しそうなファンド。
投資するべきかについて先に結論を書くと、「できたばかりのファンドで判断が難しいし、手数料もそこそこ高い。少額で十分だしイマイチなファンド」です。
投資信託のファンドは、下落局面は必ずと言ってあるので。
価格がダウンしたときにも1.925%の手数料を支払うのは、投資家からしたら痛手です。
「イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドが、16.3%の利回りを維持し続けられるか?」は、だれにもわからないです。
菅さんの「2050年カーボンニュートラル宣言」(2020年10月)の半年後にできたファンドで、時代に合っていると思うのだけど。ひよこSE(@PiyoOct)の個人的な意見としては、「アクティブファンドかつ、歴が浅い」となれば、様子見でいいという印象です。
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドとは、脱炭素化社会に貢献する全世界の企業に投資
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの、目論見書の3ページを見ると、どんな投資信託なのかが書かれています。
一言で言うと?
脱炭素化社会に貢献したり、それで業績が伸びるような全世界の企業をえらんで投資!
目論見書の言葉を借りると、「脱炭素化社会実現に向けた取り組みやイノベーションに貢献する企業」に投資。実際にファンドを運用する「アリアンツ・グローバル・インベスターズ」という会社が投資先をえらぶアクティブファンドです。
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドはアクティブファンド
アクティブファンドって何?
投資のプロが、投資先を決めることです!
今回だと、下記の流れ。
①「三井住友DSアセットマネジメント株式会社」が投資家からお金を集める。
②「アリアンツ・グローバル・インベスターズ」というドイツの運用会社にお任せして、脱炭素化社会の恩恵を受けそうな企業に投資。
迷ったらインデックスファンドにするのが基本
運用会社(≒投資のプロ)が投資先を決めるといっても、「人間の予想」なので絶対ではない上に。
ほとんどの場合は、インデックスファンドといって、何かの指標とおおむね同じ動きをするファンドに負けてしまうのが実情。
ハッキリとした理由がない限りは、インデックスファンドに投資するのが鉄則中の鉄則です。
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの組入銘柄
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの、目論見書の13ページに組入銘柄が記載されています。
No | 銘柄 | 業種 | 国 | 比率 |
---|---|---|---|---|
1 | モノリシック・パワー・システムズ | 半導体 | アメリカ | 2.70% |
2 | GENERAC HOLDINGS | 資本財 | アメリカ | 2.57% |
3 | アルベマール | 素材 | アメリカ | 2.56% |
4 | アナログ・デバイセズ | 半導体 | アメリカ | 2.42% |
5 | テスラ | 自動車 | アメリカ | 2.32% |
6 | Chart Industries | 資本財(鉱山) | アメリカ | 2.32% |
7 | フリーポート・マクモラン | 素材 | アメリカ | 2.27% |
8 | リンデ | 素材 | アイルランド | 2.15% |
9 | PLUG POWER | 資本財(水素燃料) | アメリカ | 2.09% |
10 | ハネウェル | 資本財 | アメリカ | 2.04% |
上位10銘柄の合計は、23.44%なので、この10社の業績はわりと重要。
このファンドは、AmazonやGoogleでなく、エネルギー系の企業が中心なのが最大の特徴。
他の世界株式ファンドだと、ほぼアメリカのIT企業が投資先なので、興味深いですね~!
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの信託報酬は、1.584%で高い
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの信託報酬と呼ばれる手数料は、1.925%なので高いです(目論見書15ページ)。
※購入時手数料の3.3%はネット証券であれば無料。窓口の場合は、3.3%を負担します。
どうして高いって言いきれるの?
手数料が1.9%以下、さらには0.3%以下の商品もたくさんあります!
手数料1%以上は正直、高い。0.3%以下がいい
投資信託において、手数料は0.3%にするべきです。1%をこえてくると、正直に言えば危険ライン。
1%くらいは、誤差の範囲な気もするなぁ・・・。
と言いたいところですが、ボディーブローのごとく、じわじわと威力を発揮するのが手数料。
「毎年とられる(正確に言えば、率の日割りを毎日とられる)」という点は忘れずに・・・。
手数料は1円でも安くするのが鉄則
利益出せるファンドに投資するの方が重要じゃないの?脱炭素は今後のトレンドだよね?
可能性が高いだけで、本当に利益が出るかがわかるなら、苦労しないです・・・。
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの場合だと、「脱炭素化社会実現に向けた取り組みやイノベーションに貢献する企業」がコンセプト。
ファンドの考え方そのものは、面白いと思います。
手数料なんて気にならないレベルで化ける可能性はあるけど、「絶対ではない」です。
すごく伸びるかもしれないし、反対に「やっぱ、無理だね」となって脱炭素がなかったことにされたら・・・。
どの投資信託だろうと、損する可能性、リスクがある点は変わりません。
投資家ができることは、1円でも手数料を安くすることだけであり、それが鉄則です。
【関連記事】投資信託の「信託報酬」とは?計算方法も含めて、徹底解説
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの評判は良い
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの目論見書の11ページ目を見ると。
「純資産総額」といって、投資家から集めて実際に投資した結果の総額を見ることができます。
- イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド:1,891億円
- 【類似ファンド】ニッセイSDGsグローバルセレクトファンド(資産成長型/為替ヘッジなし):584億円
純資産総額が1,000億円ないファンドもあることを考えると、2021年3月31日にできたばかりで、1,891億円を持っているのはすごいです。
1年で投資家からお金を集めて、1,891億円にした計算!
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドは、手数料の1.9%以上に、投資家から期待されているファンドと言えます。
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの利回りは16.3%で良い
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの利回りは16.3%なので、良い数字です(目論見書12ページ)。
運用歴が長い(10~20年ある)ファンドの直近5年利回りは、5~15%程度なので、「1年とはいえ、いい数字」と言えます。
ちなみに10年、20年でみたときに、平均3%が優秀なファンドのライン!
長期で考えて「他のファンドと変わらないね」となるかもしれないし、「脱炭素化がすすんでめっちゃ伸びた」ってなるかもだし。
投資家は、1年目の運用実績と手数料もろもろから、今後の判断を迫られます。
・・・そういうことを考えるのがイヤなら(ひよこSEのこと)、インデックスファンドにした方が無難です(-_-;)
まとめ:イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドは期待されているファンド
というわけで、まとめです。
イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドは、歴が浅いのもあるし、これからのファンド。
純資産総額と利回りを見ても、投資家からは、手数料以上に期待されています。
ただ、「手数料が1.925%と高め」なのが、ひよこSEの中ではネックなので、「利回りが高くても様子見するかなぁ」っていったところ。
2050年までは安定した数字を出しそうだけど、政治の世界なので。何とも言えない感はあるし、「手数料は他のアクティブと同じように1%台とられるのかぁ」と考えちゃいます。
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